録音好きの新作動画

私は昔から自分で録った音を聴くのが好きで、録った音聴きたさに作曲していると言っても過言ではない。録りたいから作る。

最近のようにマイクやオーディオインターフェースにこだわるずっと前、生音じゃなくシンセだけで曲を作っていた頃からの話で、30年ぐらい前だとDATに録ったのをカセットテープに落としてラジカセで聴いていたのだけど、カセットテープの種類もクロムだのメタルだのあれこれ試して、どれが自分がシンセから直にヘッドホンで聴いている音に一番近いか試行錯誤していたっけ。

もちろん、作曲したり楽器を鳴らしたり歌ったりする行為自体も楽しくて大好きだが、それを”音源化”した時に鳴らしてどういう音空間が出来上がるかに表現の一つとして興味がある。

そんな自分がこのところ録ってMVにして公開したのがこの2作。

今年は5月頃からあまりに暑い日が多いので、せめて涼しげな音を録って聴きたいと思って作った「音涼み」。

グラスに氷を入れて炭酸水を注いでかき混ぜる音、ベルやティンシャやタングドラムやトライアングルといった金属の響きを集めたもの。

氷と炭酸水は最初金属製のマグに入れて録ったところ、かき混ぜる音が綺麗じゃなかったのでクリスタルガラスのグラスに変えて録り直した。

続いてのこちら「花たちへ」は、「齧られて」という作品を作っている合間に思いついたメロディをハーモナイズしてハルモニウムで演奏し歌も乗せたもの。

ハルモニウムは左手でふいごを動かしながら演奏するインドの小型オルガンで素朴な音色の楽器だけれど、ハルモニウムに限らず足踏みオルガンなんかも教会のパイプオルガンの代用品的に宗教音楽に使用されるもので、リードの鳴りは素朴ながらも何か荘厳さを感じさせる風情があり、自分にとって録り方聴かせ方を工夫したいとウズウズさせられる楽器。

聴いて下さる方々にはどってことない音源に聞こえてしまうかも知れないけど、ハルモニウム録るにあたってマイクを3本立てている。楽器に近い部分に1本、少し上の方にステレオペアで2本。(ステレオペアでなくて楽器と天井に対して水平にフィギュア8でマイクを配置したり壁に向けて1本立てて反響を録っても面白かったかも知れないとも思う。)

空間系エフェクターはプラグインではなく、原音がしっかり残るハードウェアのエフェクターを使用。どういうパラメータで使用したら良いか自分では決めかねたので、作品に対する第三者である夫に好きにプログラムしてもらった。楽曲と歌詞の内容から教会で聴くような響きが似合うだろうとプログラムしてくれた。

歌詞の文言の”赤い薔薇”は愛の告白からの結婚式、”白い百合”は葬儀をイメージした場合、そのプログラムは合っているように思う。

こういうマニアックな話は敬遠されがちなことはわかっているし、音楽作品として人の心を揺さぶるかどうかとはまた別の話であって、ただの自己満足に過ぎないくだらないことだともよくよくわかっている。(ましてや自分は技術的に下手クソなので)

でも、そんなくだらないことを試してみたいが為に作曲だのアレンジだのしたり楽器を鳴らしたりしてもいいじゃないか。音楽の原点の一つは音を楽しむことだと思うから。

嫌われるマニアック話ついでにいうと、昨今のやたらコンプだのマキシマイザーだのかけまくって圧縮した音源はハッキリ言って嫌いだ。人が生楽器を演奏したり歌ったりする際には感情の起伏によって自然とダイナミクスがつくもので、それが聴き手の心を揺さぶる要素の一つなのに、全く平にならしてしまっては魅力半減。静かに歌っている部分もシャウトしている部分も同じ音量になっているより、変化がある方が聴いていて引き込まれるのはLIVEの高揚感を考えれば当たり前のことのように思うのに。対面で会話していても同じことだろう。

とはいえ、聴き取りにくい箇所があるとか音量変化が大き過ぎて聴いていてしんどいという状況もわかるから、自分はやり過ぎない程度に調整している。やり過ぎかな?と思うアーティストさん方についても現代的な音を努力して作っておられるのだと理解するし、それが出来ることに敬意を持っている。人それぞれの伝え方があるというだけで、何が正解という話ではない。

Sigil Project(Sigil*WAJIN)official web site

こちらは宅録ミュージシャンSigil*WAJIN(わじん)及び不特定メンバーユニットSigil Project(シギルプロジェクトのwebサイトです。 シンセ、鍵盤ハーモニカ、ハルモニウムやボウドプサルテリーなど民族楽器を用いて、ノンジャンルにインスト、歌物を作っています。 ブログにはお気に入り機材のレビューを書くこともあります♪

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